JAL | JAPAN AIRLINES新卒/既卒採用情報

PROJECT #01

JALの新たな挑戦
~初のエアバス社製航空機の導入~

KEYWORD.1

JALは、2013年にエアバス社の航空機A350型機(以下A350)の導入を決定。就航に向け、全社を挙げてのプロジェクトが始動した。

KEYWORD.2

航空機の仕様は航空機メーカーにより大きく異なるため、新たな航空機の導入は、機体の操縦から整備、機内仕様まですべてが劇的に変わることを意味し、航空会社にとって大きな挑戦といえる。

KEYWORD.3

2019年9月より、国内線にてA350-900型機が運航を開始する。

PART01

円滑な運航開始に向けて
プロジェクトを的確にマネジメントする

2014年、A350導入プロジェクトを統括する経営企画本部 経営戦略部 機材グループに着任したのが、当時入社8年目の井上幸一だった。井上が最初に取り組んだのが機材仕様・客室仕様に関するオプションの選定である。航空機という極めて高額な商品でも、一般商品のように「カタログ」を開くことから選定が始まる。

「A350と一言でいっても、機体のサイズが複数存在しますし、国内線・国際線によって仕様も異なり、航空会社で各オプションの採否を選択する必要があります。航空機の導入を決めた後も、オプションの選定や導入時期の精査など、多くの仕事があります。オプションの選定に当たっては、投資金額とのバランスを図り総合的な評価を取りまとめていきました。その後、各関係部署にて本格的な作業が始まってからは、機材仕様・客室仕様の取りまとめを行うと共に、導入準備全体のマネジメントを担当しています。円滑に運航を開始することをミッションとし、プロジェクトに取り組んでいます」

A350の導入は、機種選定から仕様決定、運航開始の準備に至るまで、社内外問わず多くの人が関わるプロジェクトだ。井上は、スケジュールを意識しつつ、関係部署の合意を形成してプロジェクトを前進させていくという、いわばプロジェクトの司令塔を担っている。導入に向け、さまざまな準備を進めるなかで、特に印象に残っているのが客室仕様に関する取り組みだった。

「導入準備を進めるなかで、機内上部にある荷物収納棚の位置が高く、また扉を閉める際にかなりの力を要することが判明し、お客さまや客室乗務員への負荷軽減と安全性確保のために対策が必要となりました。エアバス社や部品メーカーなども巻き込んで、最終的には収納棚の扉を閉めやすくする装置の開発をエアバス社に依頼したのです。机上だけで判断せず、必要に応じて多くの人を巻き込み、課題解決することが重要であると学びました」

現在、2019年9月の国内線への就航に向けて、導入プロジェクトは、運航乗務員や整備士の養成、各種マニュアルの作成、航空局からの認可の取得など、航空機受け入れ準備の最終フェーズに入っている。同時に、将来的な国際線への就航に向けても、国際線用機材の客室仕様や導入機数の検討を進めている。

「新機材の導入は航空会社にとって最大のイベントといっても過言ではなく、A350を導入しスムーズに運航を開始するという自身のミッションを、なんとしても成し遂げたいと強く思っています。そして、A350の快適性を多くのお客さまに知っていただき競合他社との差別化を図ることで、世界で一番選ばれ、愛される航空会社になるための大きなステップにしていきたいと考えています」

PART02

航空会社の差別化要素の一つ
「座席」開発で追求した「JAL仕様」

航空会社において、最もわかりやすく差別化を図ることができるとされているのが客室仕様だ。なかでも「座席」は、利用者の快適性を左右する重要な要素の一つである。この「座席」開発のプロともいえるのが商品・サービス企画本部 開発部 空港サービス・客室仕様グループの大久保隆弘である。JALはこれまで、国内線の機内座席において「JAL SKY NEXT」と名付けたプロダクトを展開し、本革シートの採用や座席空間の拡大、機内Wi-Fiの提供を通じて「洗練された高品質」な座席を提供し、各方面から注目を集めてきた。大久保らが取り組んできたこれらの座席開発の技術・ノウハウはA350にも反映されることになった。

「エアバスはカタログ上で多彩な座席を提供しており、それらを採用することも一つの方法でしたが、私たちはJALとしてのオリジナルの仕様にこだわりました。JALの新機材としてふさわしい客室をつくりあげることで、国内線のような短距離路線においても、フルサービスキャリアとしての航空機をお客さまに提供し、市場における競争力を強化したいと考えています」

大久保はクラス構成や座席数などの基本仕様の検討から着手し、デザイナーと共に座席の基本コンセプトを固めたうえでデザインを決定。現在は採用する座席の仕上がりの最終確認を終え、実際の形にするフェーズにある。「JAL SKY NEXT」の基本思想を継承しつつデザインを刷新し、機能性とデザイン性を兼ね備えた座席になる予定だ。

「JALにとって初めてとなるエアバス機の仕様開発は、お互いのやり方や考え方を理解しながら一歩一歩進めていくプロジェクトとなりました。なかでも、A350のような大型機を日本の国内線のような短距離路線に投入することは世界的に見ても稀であることから、路線特性に合わせた客室仕様や座席にするために、何度も検討を重ねてきました。お客さま目線に立つことを最も重視し、最終的にお客さまに確かな快適性を実感いただける座席の実現を目指しています」

大久保は、エアバス社などとの打ち合わせのために20回以上ドイツ・フランスをはじめとした世界各国に飛んだ。社内のみならず、エアバス社との相互理解と合意形成が、プロジェクト推進の重要な要素の一つだった。そして実際に形にしていくうえで生じる課題を一つ一つ解決していくことで「JAL仕様」が完成していく。「搭乗した瞬間、着席した瞬間にJALとわかる仕様」の実現に向けて、最終フェーズを迎えている。

PART03

「A350」の安全運航実現のために求められる
運航乗務員の訓練計画

2017年4月、運航本部にて運航乗務員(パイロット)のスケジュール管理に携わっていた村杉汐音は、A350の運航乗務員訓練に関わる新たなミッションを与えられた。航空機の操縦資格は機種別に分かれており、新機材導入時にはその資格取得訓練が必要となる。村杉は、翌年(2018年)に控えたA350訓練開始に向けて、調査役機長や業務企画職のメンバーと共に、具体的な訓練計画の策定を担当することとなった。それには、エアバス社や航空局といった関係者との速やかな調整も必要であった。

「現在運航しているボーイング機とこれから就航予定のエアバス機では、さまざまな面で違いがあります。例えば、ボーイング機はパイロットの前にある操縦桿で操作しますが、エアバス機では目の前に操縦桿はなく、代わりに操縦席脇のサイドスティックで操作します。このようにメーカーの違いによって設計コンセプトや機能が異なっているため、訓練や試験内容も大幅に見直す必要がありました。さらに、訓練開始にあたっては、これらの訓練・試験の内容を航空局に説明し、理解を得たうえで、承認を得なければなりません。承認取得には厳しいハードルがありましたが、安全運航に直結するものとして、粘り強く交渉を重ねました。そして、ついに2018年11月末に訓練開始に伴う航空局への手続きを終え、翌12月中旬に訓練が開始されたのです」

運航乗務員の訓練は、まず、日本国内で座学によるオリエンテーションを行う。その後2019年1月~2月より順次、エアバスの本社があるフランス・トゥールーズの訓練センターに派遣される。そこでは、座学のほか、シミュレーターなどの訓練機材を用いて、約2カ月間、訓練が実施される。その後、試験に合格すれば、操縦資格取得となる。さらに、2019年夏から実機による訓練フライトを経て、ようやくお客さまをお迎えすることができる。

「新機材導入には、これをやればいいという雛型があるわけではなく、起こり得ることをさまざまな観点から想定し、そのなかでやるべきことを確実に遂行していかなければなりません。難しさを感じつつも、JALの転換期ともいえる一大イベントに関わっていることに、大きなやりがいを感じています。早くJAL仕様のA350が、日本や世界の空を飛び回るのを見たいですね。そして多くのお客さまに愛される飛行機になってほしいと思いますし、私もその一助を担いたいと思っています」

PART04

最高の品質を実現するために
航空機と地上を結ぶ「JAL仕様」ネットワークを構築

航空業界で近年急速に進展しているのが、航空機の「デジタル化」であり、最新鋭機においても、キーワードの一つになっている。A350の導入にあたっては、このデジタル化への対応も重要な要素となった。その主担当となったのが、整備という側面から航空機運航の安全性確保に携わってきた技術部の吉岡幸徳である。デジタル化されたA350とはどのような航空機なのか、その理解から取り組みはスタートした。

「技術面におけるA350の特徴といえるのは「e-Operations」というコンセプトが導入されたことです。最大のポイントは、航空機側と地上側のITインフラ間で大容量の通信が可能になる点。従来、航空機と地上の間のデータ通信はテキストデータなど容量の小さな通信に限られていましたが、e-Operations は航空機システムの膨大なコンディションデータなど大容量のデータ通信をリアルタイムで実現することが可能です。従って、私のミッションはe-Operationsを活用するため、地上側と航空機側にシステムを構築することでした。このシステムの構築はエアバス社に任せるという選択肢もありましたが、JALが求める高い品質を実現するために、JAL独自で構築する道を選びました」

JALは1951年設立から航空機を運航してきて培ってきたオペレーションのノウハウがあり、実際の運航における航空機技術への理解は深い。そこで、これまで蓄積し保有してきた技術力やノウハウを余すところなく活かすことを考えたのだ。

「A350の機体には数千ものセンサーが張り巡らされ、航空機の膨大なコンディションデータを飛行中に常時モニターすることができます。これらのデータはe-Operationsの大容量回線を通じて地上に送ることが可能ですが、膨大なデータの中からどのデータをどのタイミングで地上に送るかを決めることも私たちエアラインエンジニアの腕の見せ所です。それが、「JALが求める高い機材品質の実現」に深く関わってきます。例えば、航空機より送られてくるデータから不具合の兆候を迅速にキャッチし速やかに対応できれば、出発遅延や欠航といった事態を事前に回避することが可能になります。私たちは、このe-Operationsという新しい技術をフル活用して安全運航を徹底的に追求し、世界一品質の高い航空機の提供を目指しています」

現在、ITエンジニアや通信会社との協働による地上サーバーや通信ネットワークの構築を進めており、同時にe-Operationsを最適に活用するために航空機に搭載するJAL仕様のソフトウェアの開発を行っている。今後、フランスのトゥールーズにあるエアバスの本社にて、試験機を利用したシミュレーションを行うなど、万全な準備を整えて初号機を迎える予定である。

※本取材は2018年12月中旬に実施

今回のA350導入プロジェクトには、多くの社員が関わっている。直接A350に触れることがない部門においても、さまざまな導入準備の取り組みが進められており、何かしらの形で全社員が関わり、全部門の力を結集して進められている。このプロジェクトの節目となるのが、2019年9月に予定されている国内線への就航である。各方面からの期待を背負い、A350がJALの新しい翼となって日本の空を飛ぶ日は、近い。

井上 幸一 経営戦略部 機材グループ
2007年入社
新領域創成科学研究科 産業環境学専攻

大久保 隆弘 商品・サービス企画本部
開発部 空港サービス・客室仕様グループ
2000年入社
工学研究科 航空宇宙工学専攻

村杉 汐音 運航訓練審査企画部 乗員養成室
2013年入社
総合政策学部 総合政策学科卒

吉岡 幸徳 JALエンジニアリング
技術部 システム技術室 エアバスグループ
2007年入社
工学研究科 社会環境システム専攻修了